【短】泣き虫先生とわたしの卒業

「なあ、速水」

「な、なに?」

「おれの授業、何が駄目なんだ?」



 なんとなく聞いてみると、あからさまに悩んでいる。


 涙を流す奴にはっきり言えばどうなるかなんてわかっている。そりゃあ、困るだろうけど。


 おれだって男だ、教師だ。率直な意見を聞かなければ始まらない。



「いいよ、はっきり言って」

「い、いいの?」

「覚悟は出来てるから」



 じっと待ってみる。目を見るのも怖くて、自分の手を見つめた。


 言ってみたものの、生徒からはっきり言われるなんて……覚悟なんて出来てない!
 カッコつけるんじゃなかった。

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