【短】泣き虫先生とわたしの卒業
やっとわかったのか、今度はぼそぼそと何か喋っては口ごもってしまう。
「なに?」
「だって」
「だって?」
「渚、卒業していなくなっちゃうからさ」
少し照れているゆうちゃんは可愛らしい。それを隠すようにそっぽを向く仕草も。
横顔は大人の男性で、黙っていれば恰好いい。わたしから見れば、大人の魅力に惹かれてしまう。
それなのに仕草は少し子供っぽくて可愛い。それも魅力の一つなのかもしれない。
「確かに卒業するけど、泣くことないじゃない」
「相談する相手がいなくなる」
「自分で何とかしなよ」
突き放すように言うと、みるみる目に涙が溜まり始める。そういうところ、やっぱり変わらない。