【短】泣き虫先生とわたしの卒業


 そう言って口元を緩ませるゆうちゃん。ぷるっとした唇がセクシーで吸い込まれてしまいそう。


 目を細めて笑うゆうちゃん。
 わたしを見ていると思うだけで、気持ちが温かくなる。



「卒業、おめでとう」



 不意にそんな言葉をかけられて、わたしは戸惑ってしまう。


 卒業式は午前中に終わった。
 わたしは卒業生として出席。ゆうちゃんは担任として、わたしの名前を呼んでくれた。


 卒業したんだと、改めて再認識してしまった。


 おめでとうなんて、他人行儀な言葉なんて言ってほしくなかった。
 さようならって言われてるみたいで、胸が苦しくなってくる。


 急に昔のことを思い出して、泣きそうになる。
 我慢しようとすればするほど、零れてしまいそうで、わたしは窓際まで歩いていった。


 思い出すのは、初めて図書室でゆうちゃんの頭を撫でた日のことだった。

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