【短】好きだから、会いに行く。



「沙絢さん」


濡れた彼女の前髪をスッと分ければ、彼女はピクリと動揺の色を見せる。




「好きです」



真正面になってぶつければ、初めて彼女が俺の前で女の表情をしてくれた。




「…っ、」


自分で言っておいて、その顔は本当にずるい。



「…行きましょう。家まで送ります」



妙に気恥ずかしくなって視線を道筋に向ければ、彼女はちょんと俺のシャツの裾を掴んできた。



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