蜜月同棲~24時間独占されています~
突然の恥ずかしい体勢に、慌てて逃げようとしたけれど腰はがっちり捕まっている。


「な、何させる気?」

「キス」

「え?」

「頬でも額でもどこでもいいから、柚香からキスが欲しい」


大胆な格好をさせた割には、克己くんのお願いは本当にささやかなものだった。


膝の上にいるから、私の方がいつもより少し、目線が高い。


「ゆず」


催促するように、名前を呼ばれた。
キスされるのと自分からするのとでは、緊張感が全然違う。


「いや?」

「じゃ、ない」

「良かった」


嬉しそうに微笑んで、どこでもいいというように目を閉じた。
今朝見つめた寝顔と同じ、綺麗な彫りの深い顔立ち。


どこに、と考えたとき、目に入ったのは唇だった。

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