蜜月同棲~24時間独占されています~
覆い被さる彼の胸を、力なく押す。
そうしたら、彼が少しだけ唇を離して、囁くような小さな声で言った。


「大丈夫。キスだけ」

「ん……」

「だから、もう少し」


彼の吐息が、熱い。


然したる抵抗にもならない私の手を、彼の大きな手が優しく包む。
手のひらを合わせ、指を互い違いに握り合わせると、私の頭上、ソファの肘掛に押し付けた。


ひどく優しい、拘束だった。


「……ゆず」


キスの合間に、せつない声が私を呼ぶ。


「……柚香」


優しく、激しく繰り返される。
こんなに触れ合えるほど近くにいるのに、もっと、もっとと求めてしまうような、せつなくなるキスだった。




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