蜜月同棲~24時間独占されています~
「そうなの?」
「そりゃ、深見は起業から一緒にやった仲間だし。磯原も長いこと会社を支えてくれてる。だから俺が抜けた後、柚香を安心しておいていけるし、柚香さえあそこで働く気になってくれたら深見たちの力になって欲しかった。落ち着いたら、ちゃんとそう頼むつもりだったんだ」
どうして話してくれなかったのか、あれほど寂しく感じたことが、こうしてちゃんと話を聞けば頷けた。
私に負荷をかけないために、時間を置いてくれていたのだ。
「それから、静香と会ってたことだけど」
「うん」
「これも……近々、柚香を連れていくつもりだった」
「え?」
「……不安にさせて悪かった。黙って会ってりゃ、気になって当然だよな」
これにも何か、理由があるらしい。
首を傾げ、じっと彼の言葉を待っていたが、彼は暫く考えた後、
優しく、唇に微笑みを浮かべる。
「ゆず」
「はい」
握っていた私の両手を引き、更に近づけさせて片手を腰に手を回す。
もう片方の手は、私の左手を誘導して自分の肩に乗せさせた。
「今週末、連れていきたい場所がある」
「連れていきたい場所?」
「そう。それまではただ、俺を信じて欲しい」
片手が私の頬を撫で、首筋へと肌を滑り指先に力を入れて引き寄せた。
真黒の双眸が更に近くなる。
逸らされることのない強い眼差しに、私は気付けば、こくりと頷いていた。