蜜月同棲~24時間独占されています~
さやかから既に聞いていることはある。
破談のことを心配して駆けつけてくれた克己くんだったが、彼が到着した時には私はすっかり酩酊状態だった。
時刻は既に十一時になろうとしていたそうで、さやかは同棲中の彼が気になり仕方なく先に帰ったと聞いている。


問題は、その後だ。
ドレス以外にも気になることが幾つかあった。


いや、聞きたくないような気もする。
例えば、あの日朝起きた時の違和感は、ドレスの行方だけではなかった。覚えがないのにきっちりパジャマに着替えていたことだとか、いつもと違う畳み方の服だとか。


どうか、克己くんの前で醜態を晒したのではありませんように、と祈るような気持ちだったのだが……祈りは懺悔に変わった。


克己くんに連れられて来たのは古風な店構えの大人っぽい小料理屋で、奥の座敷にふたり向かい合わせに座る。
私は両手で顔を隠して、テーブルに突っ伏していた。


「……もうちょっと飲み方考えないとな。子供じゃないんなら」


わざとらしく、ちょっとトゲのある言い方に、顔を上げられないまま言葉に詰まった。
克己くんから聞いたあの日の経緯は祈り虚しく、酷いものだった。


結論。
服は全部、自分で脱いで着替えたらしい。


克己くんの目の前で。

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