蜜月同棲~24時間独占されています~


「……謝られても困る」


全部今更、どうしようもないことだ。


パシャ、パシャ、とシャッター音が二度続いた後、カメラの液晶画面を見て画像を確認しながら新田さんは話を続ける。


「……俺、こんなつもりじゃなかったんだよ」


そう言うとまたカメラを構えてシャッターを切る。
何も話すつもりにならず、私は返事をしなかったのだけれど、彼はやめるつもりはないらしい。


「お前とちゃんと、結婚するつもりだった」

「……やめて」


聞いていられないし、こんな話を他の誰かに聞かれたら、それこそ噂が今以上に盛り上がる。


「そんな話聞いても信じられないし、結婚寸前で浮気してたことには変わりないじゃない」

「……確かに、浮気だけど。ちゃんとするつもりだったんだよ、結婚したらちゃんと彼女とは終わりに」

「やめてってば!」


込み上げてくる怒りの感情に耐えきれなくなり声を荒げた。
慌てて口元を覆う。


大きな声での口論は、廊下に聞こえてしまう。


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