蜜月同棲~24時間独占されています~
「大事な幼馴染を預かるのに、やっぱり了解はとっておかないといけないと思ったし。嘘は言ってない。頑なな柚香が俺を頼ってくれるまで結構四苦八苦したけどな?」

「そっ、そんなん口説くって言わないでしょ!」

「そうかな?」


穏やかな微笑みであくまで惚ける克己くんに腹が立って、私は橋の真ん中で立ち止まる。
気付いた彼も止まった。



「はぐらかさないでってば! どうしてあんなこと言ったの?」


ここに来てやっとわかった。
克己くんはお見合いをスルーする気なんて最初からなかったんだと。


騙された。
けど理由がわからず克己くんを睨むと、彼は作り笑いを引込めた。


代わりに浮かんだのは、目を細めて私の反応を楽しむような、底意地の悪いもの。


「さあ。どうしてだと思う?」


一歩、二歩と私に近づく。
距離が近くなるほどに背丈の違いが顕著になって、少し背を反らせながら彼を見上げた。

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