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だけど誰にも気兼ねなく練習できる上に、今日みたいなアクシデントに見舞われても誰かに見られる心配がないという点では旧校舎に部室が取り残されていたことにむしろ感謝の気持ちすら覚えた。

ハル先輩との会話は楽しかったし、もっと話してみたいとも思う。

だけどその一方、平穏を好み日常を壊されたくないという思いから、人前では関わりたくないと言う狡いもう一人の自分が顔を出すのだ。

そもそもハル先輩だって、同士に興味があるだけであって、それがわたしだからと言う理由ではないはずだ。

モテるハル先輩にとって、女の子を送っていく事なんて当たり前の事なのかもしれない。

そうなるとわたしが悩むは必要なんて何一つないんじゃないんだろうか。

そうして居れば、いずれきっとハル先輩の方からわたしとの会話に飽きて、離れて行くと思うから。


「(……いつまでもこんな事が続くはずもないのだから。)」


そんな事を考えながら、何の気なしに見つめていたハル先輩の後ろ姿。

すると、ふいにこちらを振り返ったハル先輩と視線が交差する。

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