琥珀の奇蹟-MEN-
過去の恋愛と比べても、柚希とのそれは、何かが違っていた。
最初の方こそ、よくある恋人たちの陥るパターンで、互いに甘え合ったり、しょーもない喧嘩や仲直りを繰り返したり、ちょっとしたすれ違いで、お互い一時距離を置いたこともある。
それでも、何故か不思議と終わりは見えなかった。
離れて会わなかった期間も、互いに気持ちが冷めるどころか、俺には柚希が、柚希には俺が、お互い必要不可欠なのだと、思い知るだけの時間になっただけだった。
この先の未来を一緒に生きていくのは柚希しか考えられない。
そんなことは、もう充分、わかっている。
わかってはいるのだけど…。
『!!』
ハッと、俺は驚きのあまり自分の思考を中断し、声に出さず息をのむ。
今の…”けど”…って、なんだ?
迷いなんかない。
俺には柚希しか考えられないのは間違いないのだから。
なのに、どうして”けど”なんて、言葉が出てきたりするんだ?
自分で自分がわからなくなり、邪念を振り払うようにもう一口水を飲み、時刻を確認する。
マスターが注文を受けてから、もう10分が経ったていた。