琥珀の奇蹟-MEN-
『…でも、どうやらそれも私の取り越し苦労だったかな?』
不意に、マスターが笑みを浮かべながら、テーブルの上に視線を流す。
その視線の先には、四角い小さなボックス型の贈り物。
『それ、柚希ちゃんへの…だろう?』
『…はい』
『そういうことなら、私の心配など不要だな…変な話してすまなかったね』
おそらく箱の中身を察しているのだろう、そういうと『珈琲冷めてしまっただろう?淹れなおしてくるよ』と、カウンターに戻ろうと背を向けた。
『マスター』
『ん?』
『…いや、その…』
思わずマスターを呼び止め、さっき自分が感じた違和感をマスターに相談してみようかと迷う。
マスターの話を聞いて尚更、自分には柚希しかいないと確証が得られているにもかかわらず、それと相反するこの戸惑いの感情を…。
『…その様子じゃ、今日仕事が入って、実は少しホッとしていたんじゃないかな?隆弘君』
『え?』
『察するに、自分の中で、柚希ちゃんが一番大切だと分かっているのに、これでいいのか迷ったりして、自分の気持ちがわからなくなった…ってとこだろう』
『!!…どうしてそれを?』
いきなり、ズバリと言い当てられて、今度こそ本気で動揺する。
『図星かな?』
見上げた先のマスターはもう、店のマスターの顔ではなく、一人の大人の男の顔をしていた。