それでも、幸運の女神は微笑む
にしても、やっぱり異世界の方々って精神年齢高すぎじゃないかと思うんですよ。

私の精神年齢が低い・・・ことはないと信じたい!!!




「アサヒ、マーニャの部屋まで私が送りますね」

「びゅん?」

「よろしく頼む。
メイド達の部屋の練に男は入りづらい」

「かしこまりました。
愛し子様、御前失礼致します」

「うん」

「アサヒ、行きますよ」



会話がわからずきょときょとする私の手を小さな手が取る。

その小ささに似合わず、その手は固くてカサついていた。


ふわり。
柔らかな笑顔に誘われるように、私は歩き出す。

慌ててムッシェさんとラギアの方に目を向けた。


「むっしぇ、らぎあ、ありがとう!
さよぉなりゃ!」

「ああ、またな」

「・・・・・・」


ムッシェさんがゆるりと手を振って、ラギアがかすかに頷いた。




温かな人たち。

彼らがいなければ、私はきっとこんな風に笑えなかった。


まだ状況を完璧に理解できてはいないけど、でも、大丈夫だと思った。

どれだけ不安でも、怖くても。

笑えるなら、大丈夫。

笑いかけてくれる人がいるなら、大丈夫。




「むむ!しょっくどぉ、さよぉなりゃ?」

「はい。
しょっくどぉではなく食堂、です」

「みゅん?しょーくどお?」

「のばしすぎですね。
食堂、です」

「しょくどお」

「お上手です。
後は、どお、ではなくどう、の方が良いかと」

「ひょ?」

「どう、です」

「どーうー」

「どう」

「ど、う?」

「食堂」

「しょくどう」

「とてもお上手です」



優しく笑って、ムムは爪先立ちで頭を撫でてくれた。

嬉しい・・・嬉しいけど・・・私18歳なんだよ・・・。


12歳に頭を撫でられる18歳。


とても複雑な気持ちになった。




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