極上の愛をキミへ
『今朝、お前に言わなかったか』

・・・あ。

今日の夜、飯に行くと言われたような。


『で、俺との約束忘れて、お前は外で何してるわけ』


それは・・・、答えたくない。

泣いてたと素直に言えるほど、あたしは可愛い女ではない。

だからと言って、このまま沈黙を貫くわけにはいかない。


「ちょっと、色々ありまして」

『色々ねぇ。それじゃ納得出来ねぇんだけど』


そんなことを言われても、知らないし。


『今、何処にいる』


それ、答えなきゃダメですか?


『結衣』


勘違いしそうなほど、朝比奈は甘い声であたしの名を呼ぶ。

そのせいで、トクンッと胸が静かに高鳴った。

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