月が綺麗ですね
ここにいたら男性不信になりそうなことは確かだ。

なのに、三浦さんたら...。



「私は専務の息子さんとの婚約が決まっているのよ」


頬を赤らめながら彼女は幸せそうな笑顔を作る。

不安じゃないのかな?もしかしたら、三浦さんの婚約者にも愛人がいるかもしれないんですよ。

かと言って、幸せそうな人に水を差すわけにはいかないので、私はあえて聞かずにその疑問を飲み込む。


「役員さんの息子さんで独身なのは、今のところあと四人。それと副社長ね。その中でもやはり副社長が一番イケメンだから人気もダントツ。みんな残りの枠を争って必死かも」


これから貰うであろう婚約指輪を想像しているのか、三浦さんは左手薬指を右手でさすっている。

まだ六ツ島一族の誰からもお声がかかっていない秘書の皆さんは、こんなささいな行為でも腹を立てそう。

勝手に想像を巡らせる。

恐いなぁ、女の園...。

いや、女の園すべてが恐いわけじゃないですよ。だって女子高とか女子大とか、後はえ~っと、女子修道院とかたくさんありますからね。

ここが特別恐いだけですよね、きっと。
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