月が綺麗ですね
弘くんまさか...。

息を飲んで弘くんを見つめる。


「お節介とは思ったけど...」


心臓が高鳴り、胸に抱えていた弘くんのトレーナーの袋をギュッと抱きしめた。



いがちゃんが徹さんの妹とは到底思えないけれど、でもそうであってほしい。千分の一にも満たない希望を私は抱いた。


心臓が飛び出しそうなくらい不快な唸りをあげている。呼吸を整えるように私は弘くんの言葉を待った。




「六ツ島さんは...妹なんていなかった。ひとりっ子だったよ」


ああ...。

私は天を仰いだ。今にも崩れ落ちそうな体を必死にこらえて立っていた。


「入社する時に戸籍を提出してもらってるから間違いない」


弘くんの声を死刑宣告のように私は聞いた。

それは終わりを意味した。
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