月が綺麗ですね
確かに私は副社長の泳ぐ姿をじっと見つめていた。
それすらも予想していたと言うの?

けれどここで他に見るものなんてないから、どうしても動くもの...副社長に視線が行ってしまうのは仕方のないことなのだけれど...。

それが不快と言われてしまっては、私も困ってしまう。
まさかスマホゲームをするわけにはいかないし、時間をどう潰したらいいのか正直困る。

これも秘書として耐えなければならないのなら...試練だ。

ガックリと肩落とした私に執事風の従業員さんが声を掛けてきた。


「新藤さま、どうぞお座りになって下さい」

「ありがとうございます。ですが...」

「立ってお茶を召し上がるのは、マナーに反しますよ」


うっ、そう来たか。

敵も中々うわ手だ。

人としての行動規範を指摘されてしまったら、座るしかないじゃない。

でも、本当にそうしていいのだろうか?

座るべきか、座らざるべきか、相反する感情に挟まれ葛藤する。


って、あーもうっ、秘書って気苦労ばかりで本当に疲れてしまうっ!

しかも、今日は配属初日っ!!
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