月が綺麗ですね
ホテルに着くと副社長はチェックインを済ませる。


私はぼんやりしながら彼の背中を見つめていた。

これからまだ仕事?

正直、疲れているのに...。眠気に襲わそうになるのを、太ももをギュっとつねって何とか耐える。
文句を言いたいけれど、疲れているのは副社長も同じだ。


仕方ない。ひとつため息をつくと、姿勢を整えた。


「行くぞ」


短く声を掛けられて、私は彼の後ろに付き従う。会話は無い。

まぁ、これはいつものことだけれど。

一歩後ろを眠い目をこすりながら歩いていると、着いたのは最上階のスイートルームだった。

あれ?私が予約したのはツインのはずだけれど?


オロオロする私を無視して、彼は部屋の扉を開けてそのまま中に入るなりソファーに鞄と上着を放りネクタイを緩める。動作は早かったが、さすがに少し疲れた顔をしていた。

私はどうしていいか分からず、入口で突っ立っていると...。
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