シンさんは愛妻家
「すごく美味しいです。
奥様、お料理お上手なんですね。」

と言いながら、僕が弁当の蓋に分けて置いた
磯辺揚げにした魚のフライや、野菜の煮物、だし巻き玉子、
アスパラのベーコン巻きや、コンビニのサラダなんかを食べている。


「僕に家族はいないよ。
料理が趣味なんだ。」

「…そう…なんですね」

となんと言ったらいいかわからないって顔をしたので、

「気楽だよ。
ガールフレンドは選び放題だし…」

と少し笑うと、

「そうですよね。さっきの看護師さんたちも、
先生がいなくなったら、すぐにカッコいいって言いあってましたよ。」

「そうか…」

「はい!」

と元気な返事。
自分には関係ないって顔をして笑っているのが
ちょっと僕のプライドを傷つけるけど…

僕もこんな年下の女の子には興味はない。

この間まで結婚を考えていた人はは20代後半だったけれど…
子供もいたから、とても大人のオンナだった。
と彼女の柔らかい笑顔を少し思い出した。


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