拘束時間   〜 追憶の絆 〜

〜 結婚 〜

昨夜。彼と結ばれて、プロポーズを受けた淡いオレンジ色の甘い寝室は。一夜明けると、シルクのカーテンに生まれたての朝日が透過されて、カーテンも、スタンドランプも、壁紙も......全て白一色の景色に様変わりしていた。そして、この部屋は純粋な愛だけが宿る清廉な空間へと進化していた。

「おはよう。昨日は、すごく幸せだった......。それは今もだけど。身体はどう?痛みとかはない?」

彼は私を朝まで抱きしめていてくれていて。私が目を覚ますと早速、初めて彼を受け入れた私の身体を優しく気遣ってくれた。

「うん、大丈夫......。でも、ちょっと身体が重たい......」

そんな自分の身体が愛おしい。だって、彼の香りと温もりが宿っている。

彼を受け入れた時の事を思い出すと。私は、すごく幸せで。そして、照れくさい……。

私は、はにかみながら。満たされた想いを胸いっぱいに感じた。

「身体が重いのは、昨日俺を受け入れてくれたからだね。ありがとう、沙綾……。今は俺の腕の中で休んでいて」

彼は、自分よりもずっと小さくて柔らかい私の身体を心配してくれた。

そして。昨夜、私を抱いて大人の女にした彼は。今は、まるで赤ちゃんを抱くかのように私を優しく包み込んで髪を撫でてくれた。

「んー......沙綾〜......っ。いい子、いい子」

彼は頬が緩み蕩けるような笑顔で、いつまでも私の髪を撫で続けている。

そんな幸せそうな彼の笑顔を見ていると私も幸せを感じて、『一心一体』になるって言うのは、まさしくこういうことなんだなぁと実感した......。

髪を撫でられながら、愛の巣そのものと呼べる”ぬくぬく”とした彼の胸に顔を埋めて休んでいると、彼は私の髪を撫でる手を止めて呼びかけるように”ポンポン”と私の頭の上で手のひらを弾ませた。

「うん?なぁに?」

私は彼からの合図を受けて顔を上向かせた。

呼びかけに応えた私と目が合った彼は、再び私の髪を撫でながらこう告げた。

「1ヶ月後の7月26日の日曜日、昼12時に沙綾を迎えに来るから......」

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