真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
「えっ!?」

昨日の今日で......っ、しかもキッチンでっ!?

もうっ、広務さんてば。端正な顔立ちに似合わず、以外と肉食なのよね。

でも、そんなところも男っぽくて、好き。

「優花、ほっぺが真っ赤だよっ! 冗談だよっ。本気にした? 想像したの......?」

もうっ!広務さんてばっ。端正な顔立ちに似合わず、以外と意地悪なとこがあるのよね......っ!

からかわれて頬が赤く染まった私を見て大層喜んでいる彼に、私は抗議しようと真っ赤になった頬を大きく膨らませて、むくれた。

「あっ、今度は膨らんだ。優花の、ほっぺは赤くてフワフワしてて美味しそう......。本当に食べてしまおうかな」

からかわれた事を抗議するつもりでむくれたのに、彼にとっては逆効果だったようで、私のパンパンに膨らんだ頬を見て広務さんは瞳を蕩けさせて生唾を飲み込んだ。

それから彼は私の二の腕をゆっくりと撫でながら、その大きな両手をじわじわと上昇させて獲物となる赤く膨らんだ私の頬に迫ってきた。

どっ、どうしようっ!本当に食べられる!?

......そんなわけないか。

それでも、彼の両手が私の頬を優しく包み込んだ時、情景反射的にギュッと目を閉じた。すると、

「んっ......」

一瞬にして。あんなに、はち切れそうなほど赤く膨らんでいた頬から一気にフーッと空気が抜けて代わりに、からかわれて”じりじり”と焦がしていた胸の内が潤った。

私、やっぱり。彼に好き以外の感情なんて持てない。

きっと広務さんのキスは惚れ薬よりも、ずっと強力で、たとえ私がどんなに怒っていても、あっという間に好きにさせる。

「優花の唇、おいしい......。じゃあ、ヤろっか?」

「えっ!?」

性懲りも無く、またしても。早朝から不埒な発想を巡らせて目を大きく見開いた私を見て、彼は”してやったり”といった満足そうな笑みを浮かべると、気合十分に腕まくりをした。

< 129 / 315 >

この作品をシェア

pagetop