真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ～
レジ袋を断り、商品のバーコード部分に買い上げのシールを貼ってもらうと、妊娠検査薬をすぐにカバンの中へ、しまって店を出た。

都会の街並みは相変わらず、色とりどりのネオンと星の見えないグレーの空で深まる夜にブレーキをかけていた。だけど賑やかさを増した大通りの喧騒で時間の経過は、すぐに知る事が出来た。

今、何時？

スマホで時間を確認する。

１９時か......。

そんなに遅い時間ではないけれど、あまり歩き慣れていない街で長く夜を過ごすのには抵抗がある。

またタクシーをつかまえて、早く家に帰ろう。

私はドラッグストアの前で腕を高く上げて、車道を行くタクシーに大きくアピールした。

それなのに。時間帯のせいかタクシーは一向につかまらず、夜の秋風だけが足元に冷たく絡みついた。

いつまでも、こんなことしてたら風邪引いちゃう......。

私はタクシーを拾うことを諦めて一番近い駅まで歩く決心をした。

来た道を戻り、歩道橋を登ろうと階段に足を掛けた時、耳に高音のクラクションが響いた。

車の量が多い都会の道路では、交通トラブルがしょっちゅう。

私はクラクションが聞こえた後ろの方を、わざわざ振り返ることはしなかった。

一段めの階段を上りきった時、再びクラクションが聞こえた。

一体何を揉めているんだろう......？

同じ車が二回もクラクションを鳴らすなんて、よっぽど腑に落ちないトラブルに見舞われているんだ......。

私は気になり、今度は立ち止まって後ろを振り返った。

「優花っ！」

< 151 / 315 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop