真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
「......ポート・ユニバース・インターナショナルの、成瀬です」

お互いに名刺を差し出し、軽く挨拶を交わした。

「成瀬部長。それでは、ご案内致します」

完全に別人だ......。

先程アポイントの電話を受け取り、今俺を案内してくれる女性、物流課の”日野 真綾”さんは、すっきりとした切れ長の目元に黒髪でボブのワンレングス、健康的な肌色に華やかな赤いルージュが映える、凛としたキャリアウーマンといった印象の50代くらいの人だった。

年齢はもとより、受ける印象も優花とは随分違う。

でも、少し声は似ている。

ああ、そういえば、優花と初めて会った時も一見クールな印象を持ったな。

だけど本当の彼女は純真で寂しがりやで、かわいい女(ひと)だ......。

「?どうされました?」

「え?......あ、いや何も」

真綾さんの”日野”という名字に触発されて。俺は、またしても意図せずに優花のことを思い出してしまって、ずいぶんと鬱蒼とした表情をしていたようだ。

「まもなく村井が参りますので、こちらでお待ちください」

「はい、ありがとうございます」

仕事に集中しろっ!

偶然が重なり優花のことを思い出してばかりの俺は今朝同様、気合を入れ直すと背筋を真っすぐに伸ばして、ソファに浅く腰かけた。

それから、真綾さんが応接室を後にして2~3分後、”Land trade”の、村井本部長がやってきた。

「お世話になっております。お待たせしてすみません」

「こちらこそ、お時間を頂きまして、ありがとうございます。早速ですが......」

「成瀬さん。昼も近いですし、もしよろしかったら昼食を取りながら話を進めませんか?」

会社へは午後には戻って報告すると言ってある。確かに、村井本部長の言う通り昼食を取りながら商談を進めたほうが効率がいいだろう。細かいことは、後日メールでやり取りできる。

「そうですね。では、昼食をとりながら」

「それは良かった。それでは、物流課の者も交えながらで......」

村井本部長が声をかけた物流課のメンバーの中には真綾さんもいた。

彼女と、村井本部長と俺、そしてあと二人。合計5人でランチを兼ねて仕事の話をした。

商談はスムーズに進み、早い段階でおおよそまとまった。思いのほか時間が余ったので、話は自然と雑談からプライベートな話題へと流れた。

「もう3年も単身赴任してると、さすがに寂しいですよ。特に娘に会えないのは……。そういえば、日野さんも、娘さんいるんだよね?しかも、俺の娘と同じ名前じゃなかった?」

「はい。優花といいます……」

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