真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
最終章
「もしもし、優花?」

「あ……、ジーク……」

「どうしたの?なんか、元気ないね」

「……そう?」

広務さんに別れを告げた直後のジークとの会話。

私は震える両手でスマホを握りしめていた。それ以前に、着信音が鳴り止まないスマホをバックから取り出すのさえ困難で、やっとの思いで通話ボタンをクリックした。

誰かと繋がりたい。あの時、私はそういう気持ちで、ジークからの電話に出た。

「オレ、今仕事終わったんだけど、優花、晩御飯は?まだなら一緒にどう?」

「……うん」

いつものパターンだった。

広務さんがニューヨークに旅立っている3ヶ月の間、彼に会えない胸の空虚を埋めていたもの、それが、ジークと過ごす安易な時間だった。

ジークは広務さんと違い、いつも私の近くに居てくれた。

広務さんから受けとる不安や葛藤をジークは全て吸収してくれて、想い悩むという思考を停止してくれる存在だった。

いつしか私の中でジークは、モルヒネのような役割を果たしていった。

真心や愛を考えることもせずに、私はただ過ぎていく時間の中で、ゆらゆらと楽に流されて行くことを選んだ。

「おまたせ」

電話を切って20分足らず、愛車を飛ばしてジークが私を迎えに来た。

彼が着いた場所は、ほんのついさっき、広務さんと私が別れたチェーン店のカフェ。

そんなことは露知らず。ジークは、軽い調子で私を助手席にエスコートした。

「さぁ、乗って。なに食べたい?」

……食欲なんて、全然ない。

「なんでもいいよ」

「……じゃあ、久しぶりに、あの店にしよう」

気持ちが全く噛み合わないデート。今夜も成り行き任せの夜は走り出す。

< 232 / 315 >

この作品をシェア

pagetop