真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
証拠......?

彼の気持ちが目に見える形になって表れてくれたら、きっと私の胸の痛みは無くなる。

今日、彼が私にしてくれたこと全部、伝えてくれた言葉全て。

でも、気持ちは目には見えないものでしょ?

だから、広務さんは行動や言葉で私に伝えてくれた。

言葉は形には出来ない。だからこそ気持ちで感じとらなければいけない。

相手の気持ちをどう受け止めるかは自分次第。

自分の気持ちが淀んでいたら、相手の気持ちだって淀んで見える。

でも、広務さん。

私は今日、あなたの優しさと温かさをこの胸で感じたから、私のあなたへの想いは淀みなく純粋なものだって思える。

それだけが救い。

あなたを愛することで、私自身が救われるような気がするの。

その愛というものを、あなたは見せてくれるというの?

どうやって......?

「証拠......?」

独り言のように呟いた彼への問いかけが聞こえているのか、それとも聞こえていないのか。彼の表情は変わらず、言葉なく私を見つめ続けている。

私は彼の優しい眼差しから、当然目を逸らすことが出来ずにいたが、それでも先ほどより影を纏った彼の姿や車内に差し込む夕日の光線が消えたことから、もうすぐ花火が打ち上がる時間だということが分かった。

このまま彼と見つめあっていたら、前方に打ち上がる花火は横目をかすめるだけ。

でも、一瞬にして消えてしまう花火よりも。こうして、ずっと彼と見つめあっていたい......。

心静かにそう思った時、夕闇に紛れて何かが私の背中に触れた。

そして、一瞬のうちに私は運転席の方に強く引き寄せられた。

引力に逆らえずに、前のめる私の身体を受け止めたのは彼の厚い胸板だった。

「分かりますか?俺の心臓、こんなに早くなってる......。心臓は自分で早く動かそうと思っても、動かせる場所じゃない。俺の胸が、こんなにも高鳴っているのは優花さんの事が好きだからです」

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