終わりで始まる進化論~第一部~

それから三日後、ナツキ達は実戦練習を繰り返していた。






羽柴の経営管理している闘技場で、観客は居ないもののリベンジ戦が行われている。






「ぐっ、うわああああっ!」






土には猛獣にでも引きずられた様な跡が残り、砂埃で見えなくなった壁はその衝撃からヒビが入っている。





その荒々しい勝負には不似合いな機械音アナウンスが流れて、身軽な様子で上空から少女は降り立つ。





「標的撃破シマシタ。白樺(しらかば)武装解除シマス」





白樺というのは少女の武器である刀だ。




刀身に光るラインが入っていたのが、通常の刀身へと戻ると彼女は鞘へとおさめる。





同時に砂埃の中から、肩を押さえた男が片手をあげた。





「降参だ。こんな状態で撃てねえよ。くそっ!またノアの勝ちか」




「シノミヤ君、ノア君、お疲れ様です。今日はシノミヤ君調子いいじゃないですか。ノア君に二勝してます」






恭しく頭を下げてから、見学中の羽柴は労う言葉とともにタオルを差し出した。受け取ったシノミヤは複雑そうな表情で瞳を細めている。






「結局勝ち越されてんだから意味ねえよ。トータルで三分の一も勝ててねえ」






「大丈夫ですよ。どこかの誰かさんは、お二人共に連敗記録絶賛更新中ですし」





「うぐっ……!」




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