終わりで始まる進化論~第一部~
救出

「春日井さん!」

出力が最大は息苦しい。
声が掠れてしまいながらも、大きな花の化け物と蝶のセカンドタイプが対峙している傍にいる彼女の元へと向かった。



空を見上げた彼女と目が合ったが、童顔の女性のその顔は険しく歪んでいく。



「あんた、何しに来てんの!?馬鹿じゃないの、死ぬ気!?」



救援一発目に怒号を浴びてしまったが、春日井アリスの言い分は真っ当なものなのだ。


頭では分かっているが、だからと言っておめおめとナツキだけが逃げ帰るなんて出来るわけがない。



「俺だって、す、少しは役に……」


「立つわけないでしょ!帰りなさい。せめて、ノアやシノミヤの助っ人してなさいよ!」



「断ります!ノアやシノミヤは信頼できる同僚だ。だから、絶対大丈夫」



「あたしは信用出来ないってこと!?」



最早何を言っても火に油を注ぐ状態となってしまっている。これでは助太刀に来たつもりが、彼女の機嫌を損ねるだけ損ねて終わってしまう。




言い争いがしたいわけでは無いのだが、と返す言葉を捻り出してみたが、それは素直な感情をただぶつけただけだった。



「そうじゃなくて、春日井さんだって俺のこと……もっと信用して下さいよ!春日井さんが、シノミヤを可愛げないって言うんだったら、今のあなただって俺からみれば可愛げないですよ!」



「なっ!」

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