空白の3日間
いい気分だったが、いきなり仕事モードに変わらされたのである。
タバコに火をつけて小滝橋通りでタクシーを待った。
すぐにタクシーは、来てタバコを2,3服で吸って、タクシーに乗り込んだ。
タクシーは、小滝橋通りを北に上がり
早稲田通りから
山手通りに出た。
この時間に呼び
出させるのは、
たまにある。
この不景気な時代、小さい会社は、
細かい仕事も
していかないと
やっていけない。
文句など言えない
立場なのである。
タクシーで向かっている最中にあの時の事を思いだした。
栗山の人生は、
順風満帆だった。
一流大学を卒業し、一流保険会社で部長まで這い上がったが、離婚を境目にして、全てを失った。
人生は、積み立てるのに時間がかかるが、崩れる時は、一瞬である。一つの歯車が、合わなくなると全てが狂ってくる。家族が崩れると仕事も崩れていくのだ。家庭より仕事を
選んだ栗山は、
寝ずに働いた。
家族の為にと思って働いたつもりが、
気がつけば、自分の為に働いていたの
だった。
すでにその時には、家族を失っているのと同じだった。
仕事の為に
クライアントとの
接待が、連日続き、休日も接待ゴルフ
など家族サービス
など無く、家族との接点が無くなって
いた。
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