捨てられなかった想いを、今
「なぁ、お前……濱田じゃない?」



外にでて、キョロキョロと辺りをみていると突然背後から男の声がする。



「え?」



振り向くと、長身で切れ長の目をして髪の毛を無造作に固めている男がいた。

俺の脳裏に蘇る、もっと幼い顔のそいつ。
パズルのピースが重なったように、しっかりと思い出される。



「ひ、やま?」



俺のがそう口にすると嬉しそうな笑みを浮かべる。



「やっぱり濱田だよな!10年くらいぶり!?」


「う、うん。そうだね」



正直、あまり会いたくなかった存在だった。

別に桧山が嫌な人だったりするわけじゃない。
良い奴だし、人懐っこいし。
友達としてめちゃくちゃいいやつだった。

桧山は、当時塩尻さんの彼氏だった。
もしかしたらいまもまだ付き合ってて、彼女を迎えに来たのかも知れない。



「つーか、ここから出てきたってことは濱田、声優なったの?」


「うん」

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