捨てられなかった想いを、今
「そうなんだ!すげーな!優奈がここにみにきててさ、俺、迎えに来たとこ」


「そうか……」



なんとなく予想はしてた。
ここに塩尻さんがいて、桧山もいる事実。

迎えにきたかなにかだろうって。



「トモー!ごめんね、トイレ混んでて!」



もう、会うのはよそうと。
引き返そうとしたその瞬間、走ってくる足音とそんな声が聞こえる。

塩尻さんだ。



「え!?トモ!?何で濱田さんと話してるの!?」



桧山の隣にいる俺が視界に入った瞬間、驚いたように目を見開く。



「は?同級生と話してなにが悪い」


「同級生?え?同い年って意味?そりゃそうだけど、あんたよく話しかけれますね。てか、声優知ってたっけ?」



とめどなく話す塩尻さんに、あの頃となにも変わっていなくてふっと笑いがこみ上げる。



「お前まじでうるせー」



桧山がポンッと塩尻さんの頭を叩く。



「塩尻さん」


「え!?なんであたしの名前……」



桧山に話していた塩尻さんとは全然違う感じで、俺をゆっくりと見る。

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