野獣の食事

響き渡る騒音

二人横に座り、酒を飲みあっていたその時!

いきなり、後ろの入口から、大きな騒音がバー全体に響き渡った。

振り返ると、身長190センチはあろうかという大男が、ドアの前で仁王立ちしている。

手には割れたビール瓶を持ち、こちらを睨みつけているではないか。

どうやら、先程の騒音はビール瓶の音らしいが、一体なんなのだろうか。

「どっちが伊藤晃っつーやつだ?」

男はどうやら、晃に用があるらしい。

「一体なんなんだ?」

晃が男に聞く。

「お前が伊藤晃か…このやろう!オレの女に手を出したあげく、殴ったらしいじゃねーか!ふざけるなよ!てめぇー!」

男はそこまでを、一気にまくし立てた。

手に持った、割れたビール瓶を今にも晃の頭上に、振り落としそうにしている。

さっき晃が、やったと言っていた女の事だろう。

それを聞いた晃は、全く悪びれもせずに、男にこう言い放った。
< 7 / 57 >

この作品をシェア

pagetop