野獣の食事
「まあ落ち着いて、ここに座れよ。伊藤晃っつーやつだろ?噂は聞いたことがある。酷いやつらしいなー。」

晃はさも自分は、伊藤晃ではないかのように振る舞い、男を隣の席へと誘った。

男は困惑したかのような顔で、

「ふざけるなよ!てめぇー!伊藤晃がここで飲んでいるって聞いてきたんだ!しらばっくれるなよ!」

男の表情が、怒りに満ち溢れている。

晃はポケットから煙草を取り出すと、ゆっくりと煙草に火を点けた。

「だから、オレ達二人ではないって、その伊藤晃っつーやつはー!」

堂々とした逆ギレだ。
ここまで堂々としていると、逆にすがすがしい。

「うそつけー!」

男は尚も言いよっている。

「…だーかーらー、本当だってばー。つーか、横にいる弘も前、伊藤晃に女をとられたことがあんだよ!だから、ここであんまりその名前をだすなよ!」

逆ギレどころか、堂々と作り話しまでしている。
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