年下彼氏
***
「ねぇ、里奈ちゃん。どこ行くのか聞いていい?」
「亮介は黙ってついてくればいいの!」
「う〜ん。それでもいいんだけど、せめて何しに行くのかぐらい教えてくれてもいいんじゃない?こっちは大好きな彼女のお誘い断ってまで来てるんだから」
前を行く小さな背中が立ち止まって振り向いた。
「亮介のお母さんのこと知りに行くの!そもそもあの人って彼女なの?!全然そう見えない!可愛くもないし!」
予想外の言葉に二の句が告げられない。
美奈子がどうこうではなく、問題は前半の部分だ。
「ちょっ、それどういうこと?俺の母親って…なんの話?」
「少し前の週刊誌に、ある女優に隠し子がいるって、小さい記事だったけど掲載されたの」
「隠し子……」
あの写真を思い出した。
――私に子供がいたことは言わないで下さい。
同時に、あの非情な言葉も。
「その女優の顔立ち、亮介によく似てるの」