年下彼氏
「それ、ただ似てるだけでしょ。そんな人たくさんいるって」
「でもね、その女優の隠し子ってカメラマンとの間の子なんだって。しかも、相手のカメラマンの名前の中に亮介のお父さんの名前もあったの。年頃も、亮介と同じくらいなんだよ」
古い写真。
あの言葉。
「何て女優?」
「南条嶺子」
――“私に子供がいたことは言わないで下さい。レイコ。”
「……それ、ほんとに会えんの?」
「本人には会えない。だけど、記事を書いたライターと私のお兄ちゃんが同じ出版社に勤めてるの。だからライターに話を聞くぐらいはできるの」
「なんでそんなこと、わざわざしてくれたの……」
大きな目に涙を溜めた彼女が、顔を上げた。
彼女を可愛いと思っていたことも事実だし、関係があったことも事実だった。
けど、もういい加減わかってもらわないといけない。
どうしても、他の子を可愛いと、大切にしたいと思えない。
そう思えるのは、今はもう、美奈子だけなんだ。