リライトリライト
11.いやいやいやいや
 月曜に会社に行くと未紗が一番に話しかけてきた。

「昨日はありがとうございます。
 仕事、無事に済みました?」

「えぇ。佐野主任に夕食ご馳走させたから大丈夫よ。」

 隠すことじゃないしね。
 自然にしてた方がいいよね。

「いいな〜。
 私もご馳走にありつきたかったです。」

「おいおい。
 黒谷には手伝わせた礼なんだよ。」

 いつもみたいに普通に会話に参加されてドキリとする。

 いやいやいや。

「まぁ……。
 お2人の邪魔しても悪いですよね。」

 いやいやいやいや。

「おっ。気が利くな。
 俺、黒谷だけだからな。なぁ?黒谷。」

「はいはい。言っててください。」

「そうですよ。黒谷先輩が佐野主任になびくわけないじゃないですか。
 寝言は寝てから言ってください。」

 いつも……通り。
 うん。いつも通りだ。

 佐野主任だっていつも通りで、昨日だってちょっといつもの延長を言われただけ。
 何を意識して………。

「あれ?黒谷先輩、顔が赤いですけど……。
 もしや!!」

 やだ。何?何?
 別に佐野主任に照れてるわけじゃなくて……。

「ジムでの新しい出会いを思い出してるんじゃないですか?」

 ジム……で……………。

「なんだよ。
 俺のことで赤くなったのかと期待したのになー。」

 残念そうに去って行く佐野主任に、大きな声で言いたい。いやいやいやいやって。

 そして自分にも大きな声で言いたい。

 いやいやいやいや。ないないない。







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