リライトリライト
　お昼休みに隆弘からメールが来ていた。

『今日はジムに行く？
　俺は行くから良かったら一緒に行かないかなって。』

　嬉しくなってメールを返した。

『うん。行けたら行くね。』

　そうだよ。
　隆弘が忘れられない彼で、やっと会えたんだから。

　隆弘のメールに弾む心に何故か安堵して午後の仕事も張り切ることにした。


「土曜はごめんね。」

　隆弘に会ってすぐに言われた。

「ううん。いいよいいよ。」

　奈々のことが浮かんで、もっと落ち込むかと思ったのに明るく返事ができて良かったと息をつく。

「今日も終わったら食事に行こうよ。」

「えぇ。」


　今日はスタジオでヨガをやると言う隆弘に少しだけホッとしていた。
　公衆の面前でいちゃつくみたいなのも困るし、何より自覚なしモテ男の近くにいると針の筵がつらかった。

　ゆっくりストレッチをして、ランニングマシーンで走る。
　あぁ。私って自分のペースで過ごすことも好きだったのかも。と改めて発見した気分だった。

　隆弘と付き合っていた頃は隆弘といつも一緒にいて、一緒にいないと寂しいって思っていたのに。
　大人になるってこういうことなのかなぁと感慨深い気持ちになった。





< 32 / 60 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop