【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜

愛されたくて、ずっと一人暗闇の中で喘いでた。
漸く、自分と向き合って…彼を信じられる気がしていたのに、なんでこうなってしまうのか…。

けれど、涙は不思議と出て来ない。
何故だろう?
そこまで自分の感情を煮詰めて…結果論。


これは、紛れもなく悲しみよりも強い悔しさ。


自分より先に彼に出逢って、自分より先に彼から愛を貰って、自分より先に彼の情報を知った、彼女に…私は心の底から妬いているんだ…。


「ほんと…むかつくんですけど…」


嫉妬という言葉が、今の感情にぴたりと当て嵌まった今…忌々しく、足元にあった小石を蹴った。


そして、電源を落としたままのスマホを取り出してから、今日何度目かの深呼吸。


言いたい事なら山程ある。
でも、妙に冷静になってしまって、心は冷えていた。


電源を入れると着歴は彼でびっしり埋め尽くされていた。
留守電もパンパンだった。
そして、メールアプリには切実なくらいの長文で、彼の気持ちが書かれていた。


「どうしても会って話がしたい」


どれも、最後はそう締め括られている。
私はそれらの文字を、画面を指でなぞる事で慈しんで…意を決して、彼のナンバーをタップした。


3コールするかしないかのタイミングで、彼の声が聞こえてくる。


「水美?」

「ごめんなさい。先に帰ってしまって…」


自分から出た声は、驚く程低い。
彼が電話の向こう側で、言葉を言い淀むのが分かる。
実際、私も面と向かって何を伝えたらいいのか、何を聞いたらいいのか、分からなかったけれど…彼からの言葉を待つ事が賢明だと、そう頭に言い聞かせた。


「…怒ってる?」

「…はい」

「今、何処にいる?」

「……分かりません。でも…多分、空港近く。ジェット機の音がするから…」

「迎えに行ってもいいか?」

「嫌だと…言ったら?」

「それでも、迎えに行く」


彼の声からは、今までに聞いたことのないような焦りを感じた。
だから、私はそれを跳ね除けようとする。
それぐらい、頭に来ていた。

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