私、今日からお金持ち目指します?
すると彼は私の耳元に唇を寄せ、「嫌いと言っていられるのも、セミナーが終わるまでだ」と囁き、頬にキスを落とすと、スッと身を起こす。

「上杉、そろそろだな」

どうやら店の側まで来たようだ。でも、私はそれどころではない。口から心臓が飛び出るほど胸が高鳴っていた。

今のは脅しか! 脅しなのか! セミナーが終わったら、私はどうなるのだ?

好意を抱く女性を脅してどうする!
上条勝利、この男、まさか女心が全く分かっていない……とか?

そう言えば、と思い出す。ずっと仕事一筋と言っていた。この容姿で……嘘みたいだが……。

もう色々面倒くさいから、あと一回セミナーは残っているけど……バックレる?

イヤイヤ、そんなことをしたら、きっと報復される。どうしたものかと頭を悩ませていると、上条勝利が言う。

「眉間に皺を寄せ、また何やらよからぬことを考えているだろう。次回のセミナーをサボろうなんていうのはナシだからな!」

バレている……彼は超能力者か!

アハハと空笑いを浮かべ、「そんなことしませんよ」と言うと、「セミナー最後の日、改めて君にプロポーズする」と彼が宣う。

あまりの爆弾宣言に、どんなサプライズが待っているのだ。と思ったら怖くなり、ひととき意識を、あの世とやらに飛ばした。
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