私、今日からお金持ち目指します？

「その印象はズット変わらないのですか？」

「ここで発言するとは、君はなかなか勇気がある、と僕は君を、今、ここに」と上条勝利は人差し指で自分の米神を指しながら「インプットした。それはこの先、変わらないだろう」と口角を上げる。

「このように、第一印象は直感だ。直感は野生の勘とも言える。野生の勘は外れることの方が少ない」

「あっ、そうだ」とここで言葉を切り、「今話していることは、好きな相手を振り向かせたいと思う時にも使える」と微笑むと、前列のあの二人がキャーと黄色い声を上げる。いちいち反応がカラフルだ。

「故に、富豪を目指すなら……または、意中の人を落としたいのなら、T.P.O.プラス、相手に認めてもらえるような、相手に敬意を表した、身だしなみをすること。これは基本中の基本だ！」

「君、分かったかな？」と上条勝利が私に向け言う。

えっと……もしかしたら、この会場で浮いていたのは、あの前列の二人では無く私だった、という事だろうか……とコッソリ辺りを偵察する。

結果、上条勝利の言う通りだった。
皆、それなりにお洒落をして来ていた。

「君のように、僕が講師と知っていて、普段着で来る輩も珍しい。希少だ。万が一、僕の目に留まりたくてワザとしてきたのなら……」

パンパンパンと大袈裟に手を叩く。

「おめでとう、作戦は大成功だ。だが、今、言ったように印象はあまり良くない……」

勝手に作戦と思われてしまった。なんの意図も無いのに……。