私、今日からお金持ち目指します?
「マリーアントワネット! 有名人じゃないですか! だったら、尚さらです。そんな指輪頂けません。というより、婚約指輪の意味が分かりません」

「意味が分からないのはこちらの方だ。婚約するなら指輪を贈るのが当然だろ」

上条勝利がムッとしながら言う。

「だから、先程から言っているように、婚約の意味が分かりません。いつ私が貴方と婚約すると言いました!」

本当に勝手なんだから。

「だから君も分からない人だね。俺たちは幼い頃からお互いに想い合っていた。それで十分じゃないか!」

イヤイヤ、待て待て! あの時はちょっと惑わされたが、よく考えたら、この十数年、貴方に対する私の気持ちは嫌悪しかなかったぞ!

「本当に君は頑固だね。まぁ、そこも魅力的だが」
「あら、やだ、惚気?」

皐月さん、お願いです。黙っていて下さい。

「でも、冬夏ちゃんの言い分も分かる気がするわ」

皐月さん、もっと言ってやって下さい!

「二人が再会したのはついこの間だったし、婚約するまでに恋人同士のスイートな期間も必要よね」

否、やっぱり黙っていて下さい。
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