私、今日からお金持ち目指します?
「僕はいつもセミナー希望者に履歴書を提出してもらっている。それは利となる人物を選ぶためだ」

小耳に挟んだ通りだった。全く傲慢な男だ。

「君は今回が初めてだったね」
「ええ、貴方のセミナーは高額なので、なかなか参加できませんでした」

なるほどね、と上条勝利が頷く。

「もっと早く君が僕のセミナーに参加していたら、彼女ともっと早く結ばれていただろうね」

どういうこと?

「君は選択を誤った。時間の無駄遣いをしたということだ」

益々分からない。

「君の作ったプログラムを見せてもらった。君を僕の会社にヘッドハンティングしたい」

「はぁぁぁ!」と山下さん共々声を上げる。

「僕に認められたんだ。君は価値の無い人間ではない」

ウワッ、肌が粟立つ。
上条勝利、俺様だけど、カッコイイじゃないか!

「本当ですか!」

山下さんが我に返り、興奮したように言う。

「僕は嘘は言わない。もっと早く君に会いたかったよ」

「舜君……」と涙目の日下部さんが山下さんの手をギュッと握る。

「セミナーが終わるまでに、今の会社との契約を終了させておくように。時は金なりだよ。セミナー修了後、君との事業契約を締結しよう」
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