私、今日からお金持ち目指します?
上条勝利と山下さんのやり取りを、呆気にとられながら見ていると、「ビックリしたかい?」と声を掛けられる。

えっ、いつの間に? 木佐社長が隣を歩いていた。

「アレが本来の彼だ。上条勝利という男は、瞬時に動き、全てをモノにする」

クッと笑みを浮かべる貴方も、只者ではありませんね、と心の中で呟く。

「山下舜は自己評価が低いみたいだが、勝利の話では、彼の作るプログラムに目を付け、彼を欲っしている人間は多々いるようだよ。今、彼がフリーランスで勤めている会社は四流だから、それに気付いていないがね」

そうだったんだ。山下さんって……実は凄い人だったんだ。

「昔から奴を見てきて、一事が万事そんな風だったから、君を落とすと言った時、君にも特別な何かがあるのかとも思っていたが……」

ご期待に添えず申し訳ない。私には、地位も名誉もお金も美貌も無い!

「何が勝利を動かしたんだろう?」

興味津々の瞳が私を見る。

「久し振りにワクワクしているんだ。今ね、奴の興味対象である君の魅力を探ることが俺の楽しみなの」

それはお気の毒様。きっと収穫ゼロでガッカリするだろう、と思っていると、いきなり誰かの腕が肩に回され、抱き寄せられる。
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