君の思いに届くまで
「君と初めて出会った日からこんな風に繋がっているとわかっていたら」

そう言うと、琉は私を強く抱きしめた。

琉の腕の中でこの先どんなことがあっても絶対琉との出会いを後悔しないと決意していた。

「私がヨークに帰るまでの間、ずっと琉のそばにいさせて。私はこの三日間のことは絶対忘れないから」

私の耳に触れている琉の頬が頷いていた。

白鳥が水藻をついばんでるが見える。

「なんだかお腹空いちゃったな」

琉は微かに笑うと私から腕を解き私の手を取った。

「そうだね。食べに行こう。食べた後はどうする?」

「ずっと私を抱きしめてて」

言ってしまってから急に恥ずかしくなってうつむいた。

でも、これが今の私の本心。

私をずっと抱きしめてほしかった。

「もちろん。俺もそうするつもりだったよ」

琉はそっと私の肩を抱いて立ち上がった。

しっかりと琉を私に刻みつけて、もう二度と会わないこと。

そうすることが誰も傷つかない方法だとその時は思っていた。


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