君の思いに届くまで
10章
10章



ランチを取ったあと、また琉の家に戻った。

玄関の扉が閉まる。

私はしばらく見つめ合っていた。泣きそうなほどに琉を求めている自分がいる。

琉も潤んだ瞳でそっと私の体を抱き寄せた。

「愛してるよ、ヨウ」

そして私の唇を塞いだ。

優しかったキスは次第に激しく私を求めた。

苦しいくらいに。

琉の長い指は私の体中をくすぐるように滑っていく。

優しく甘い時間は、どれだけあっても足りないくらいに思えた。

肩で息をしながら、汗ばむ琉の背中をぎゅっと抱きしめる。

琉はそんな私を目を細めて見つめていた。

そんな余裕な琉の目をみたら、まだ私は琉に追いつけないような気持ちになって苦しくなる。

年齢は私よりも遥かに上で、経験値もはるかに多い琉に追いつくはずもないのに。

まるで自分には何かが足りないようなそんな気持ちになっていた。

この3日で琉の一番になりたいだなんて、なれるはずもないのに。

病院で目の病と闘っているフィアンセを思いだし、ふっと琉の背中に回していた手が緩む。

「ヨウ?」

琉はそう言いながら私の首筋に唇を当てる。

ほんの少しの私の変化にも敏感に感じ取ってくれる琉がにくらしいほどに愛おしい。

こんなにも愛しいのに、私だけの琉じゃないんだ。

鼻の奥がツンとした。

私の前髪をそっと掻き上げた琉は私の目をのぞき込む。

「泣いてる?」

私は慌てて琉から目を逸らし首を横にぶんぶんと振った。

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