セルロイド・ラヴァ‘S
車はしばらく国道を走り、途中インターから高速道路に乗ったところで羽鳥さんは、・・・大介さんは、今日の行き先を明かした。
「ちょっと欲しいものもあるしアウトレットに付き合って」
方面からすると県外だけれど、ドライブがてら行くには遠すぎないアウトレットモールを思い付く。2時間と掛からず到着し、平日でも大した賑わいだ。クリスマスで子供たちも冬休み、家族連れの姿も多かった。
ちょうどお昼時で軒並みレストランは行列。フードコートもそれなりに混雑してたけど2人席って案外見つかるものだ。コートとタオルハンカチを留守番させて端から見て回り、大介さんは海鮮丼、私は地鶏を使った親子丼の店をそれぞれ選んだ。
お互いのを少し味見したり、量があって私が食べきれないのを彼が片付けてくれたり。傍から見たら夫婦・・・みたいかしらね。
「ひととおり店回るから。俺に遠慮しないで見たいヤツはゆっくり見ろよ?」
食事を終えフードコートを出た途端に手を繋がれながら、上から目線で言い渡されてる。性格を読まれてるのか、絶対に遠慮すると確信されてるよう。
それから、年齢やコンセプトが合わなさそうな店を外しては入り口をくぐって。トルソーのコーディネイトと見比べながら似合う服を勧めあったりした。
「時計見ていい?」
腕時計のセレクトショップの前で大介さんがわざわざ訊いてくる。どうやら欲しい物の本命はここらしい。
「買い替えるの?」
一つ一つショーケースを覗く彼に。
「んーそろそろな」
そう言えば私も。別にブランドに拘りはない。ただ愛用しているのは電波時計じゃないから、出来たらそれがいいと思っていたのだ。
大介さんの隣りで文字盤が見やすくて日付が分かる、シンプルで女性らしいデザインを密かに品定め。じっと見てたら頭の上から声が降った。
「睦月も欲しいのあるの?」
「あ・・・うん。やっぱりソーラー電波の腕時計が欲しいかなって」
するとすかさず女性の店員さんが向こう側から丁寧にセールスしてくれる。
「こちらでしたらビジネスでもプライベートでも、気取りがなくて上品に見えますし、とても人気の高い商品になっております」
ステンレスシルバーで、長方形型の文字盤のローマ数字やベルトの部分に淡いピンクゴールドを使ってたり。値段もお手頃。・・・ピンと来る。
「嵌めてみれば?見るだけでもさ。すいません、これ見せてもらえます?」
大介さんが愛想良く頼むと、店員さんも笑顔で応じてくれた。試しに左手首に。ブルーっぽい文字盤のも勧められて嵌めてみた。
「ピンクの方がいいな、それ」
大介さんが首を捻って。私もそう思ったから。
「うん。明るい感じだしちょっと気に入っちゃった」
「じゃあ決まり。これにします」
え?
口に出す間もなく。大介さんは店員さんに向かってにこりと笑んだのだった。
「ちょっと欲しいものもあるしアウトレットに付き合って」
方面からすると県外だけれど、ドライブがてら行くには遠すぎないアウトレットモールを思い付く。2時間と掛からず到着し、平日でも大した賑わいだ。クリスマスで子供たちも冬休み、家族連れの姿も多かった。
ちょうどお昼時で軒並みレストランは行列。フードコートもそれなりに混雑してたけど2人席って案外見つかるものだ。コートとタオルハンカチを留守番させて端から見て回り、大介さんは海鮮丼、私は地鶏を使った親子丼の店をそれぞれ選んだ。
お互いのを少し味見したり、量があって私が食べきれないのを彼が片付けてくれたり。傍から見たら夫婦・・・みたいかしらね。
「ひととおり店回るから。俺に遠慮しないで見たいヤツはゆっくり見ろよ?」
食事を終えフードコートを出た途端に手を繋がれながら、上から目線で言い渡されてる。性格を読まれてるのか、絶対に遠慮すると確信されてるよう。
それから、年齢やコンセプトが合わなさそうな店を外しては入り口をくぐって。トルソーのコーディネイトと見比べながら似合う服を勧めあったりした。
「時計見ていい?」
腕時計のセレクトショップの前で大介さんがわざわざ訊いてくる。どうやら欲しい物の本命はここらしい。
「買い替えるの?」
一つ一つショーケースを覗く彼に。
「んーそろそろな」
そう言えば私も。別にブランドに拘りはない。ただ愛用しているのは電波時計じゃないから、出来たらそれがいいと思っていたのだ。
大介さんの隣りで文字盤が見やすくて日付が分かる、シンプルで女性らしいデザインを密かに品定め。じっと見てたら頭の上から声が降った。
「睦月も欲しいのあるの?」
「あ・・・うん。やっぱりソーラー電波の腕時計が欲しいかなって」
するとすかさず女性の店員さんが向こう側から丁寧にセールスしてくれる。
「こちらでしたらビジネスでもプライベートでも、気取りがなくて上品に見えますし、とても人気の高い商品になっております」
ステンレスシルバーで、長方形型の文字盤のローマ数字やベルトの部分に淡いピンクゴールドを使ってたり。値段もお手頃。・・・ピンと来る。
「嵌めてみれば?見るだけでもさ。すいません、これ見せてもらえます?」
大介さんが愛想良く頼むと、店員さんも笑顔で応じてくれた。試しに左手首に。ブルーっぽい文字盤のも勧められて嵌めてみた。
「ピンクの方がいいな、それ」
大介さんが首を捻って。私もそう思ったから。
「うん。明るい感じだしちょっと気に入っちゃった」
「じゃあ決まり。これにします」
え?
口に出す間もなく。大介さんは店員さんに向かってにこりと笑んだのだった。