バレンタイン・プレゼント
それから如月さんが迎えに来てくれるまでの1時間の間に、私はできる限り、精一杯のオシャレを自分に施した。
元々あまり持っていない服の中から、赤いタートルネックセーターにカーディガンのアンサンブルと、タータンチェック柄で膝丈のプリーツスカートを選んだ。
メイクも、いつもどおりの「薄め・ナチュラル」に、チークを少しだけ濃くしたり、口紅とグロスの重ね塗りをして、ちょっとだけ冒険をしてみた。
それでも、私の見た目は、派手にも華美にもならなかったけど・・。

深くは考えていない。だけど行き先が如月さんの実家、ということは、彼のご両親にも当然会うことになる。
だから私は緊張した。
何より、ご両親にはいい印象を与えたい。不快な思いをさせたくない―――。

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