くるみさんの不運な一日
『………………切るわ』

ブツリ――と、彼を見て硬直したあたしを見事に切り捨てて、朱莉が電話を切った所為で余計にパニックになった。


あたしが住んでるマンションの前。


チラチラと辺りを気にする彼の目が、咄嗟に電柱に隠れきれてないあたしを(とら)える。


「…………」

逃げるべき!?


走って逃げるべき!?


でも追い付かれる事は目に見えて――。


「くるみ!」

迷いに迷って更に電柱に身を隠したつもりのあたしに、彼は慌てたように駆け寄ってくる。


そして、一体何の用なのかと――別れ話をしにきたのかと、身構えたあたしの目の前で足を止めた。
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