くるみさんの不運な一日
だから天川智明はあたしの事を、飛んで火にいる何とやらだと思ってるのかもしれない。


いや、そうに違いない。


絶対そうに違いない。


男なら誰だって、簡単にヤれる女がいるのは嬉しいはずで、そこに面倒臭い駆け引きが必要ないなら、更に嬉しいはず。


「……」

「どうした? 体調悪い? もしかして腰痛めたとか?」

ここはきっちりしとかなきゃいけない。


これが最初で最後だって示しておかなきゃいけない。


あたしはそういう軽い女じゃないし、そりゃ今回はこういう事になっちゃったけど、こんな行きずり的な情事は初めての経験で――。
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