くるみさんの不運な一日
『別に恍けてないし。飲んでないなんて一言も言ってないじゃん』

電話口から聞こえた声に、低い姿勢のまま「はぁ!?」と小声で反論すると、『はぁ!?』と同じ口調の声が返ってくる。


恍けるつもりか開き直るつもりか、朱莉は後ろめたさを一切感じさせない。


「じゃあ、何であたし、男といたの!?」

『は?』

「男と! いたの! 朝!」

『え?』

「『え?』じゃないし! 男といたんだし! しかもその相手――」

『あんたの会社の人でしょ?』

「…………はぁ?」
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